語彙力と知性の関係について。~名古屋心療内科コラム

◆ 「語彙が多い人ほど、頭がいい」は本当だった
セントラル・アーカンソー大学の心理学者、ビリー・スミス博士による研究では、
語彙力とIQの間に明確な相関関係があることが示されました。
つまり、使える言葉が多い人ほど、思考の幅が広く、
問題解決や論理的判断の能力も高い傾向があるということ。
言葉は「思考の道具」です。
語彙が少なければ、考えられる内容も単純になりがちです。
逆に、語彙が豊富な人は、より細やかで立体的に物事を捉えることができます。
◆ 言葉の数=思考の深さ
たとえば、「悲しい」という感情を表すにも、
「切ない」「虚しい」「悔しい」「やるせない」「しんみりする」など、
微妙に異なるニュアンスを表す言葉がたくさんあります。
語彙が多い人は、これらを状況に応じて使い分けられる。
それは単に言葉を知っているというだけでなく、
感情の機微や人の心の動きに敏感であることの表れでもあります。
◆ 同じ言葉を繰り返す人は、思考も止まっている
会話の中で、いつも同じ言葉を使う人っていますよね。
「ヤバい」「すごい」「マジで」──便利だけど、万能な言葉。
でも、そうした言葉ばかりを繰り返していると、
思考そのものが単調になり、深い対話ができなくなるのです。
心理学的にも、人は言葉を使って考える生き物です。
使う言葉の幅が狭いと、思考もその範囲から出られません。
もし相手がいつも同じ言葉で返してくるようなら、
それは「考える力」ではなく「反応」で会話している状態かもしれません。
◆ 語彙力を鍛える=知性を磨く
語彙力は「生まれつきの才能」ではなく、後天的に鍛えられる能力です。
日常の中で少し意識を変えるだけで、自然と伸びていきます。
例えば、
- 本を読む(特に小説)
ストーリーを追う中で、感情の表現や語彙の使い方を自然に吸収できます。 - 「違う言い方」を探す癖をつける
たとえば「すごい」という単語を、「見事」「印象的」「圧巻」などに置き換えてみましょう。 - 知らない言葉を調べたら、“使ってみる”
覚えるだけでなく、会話や文章で使うと定着率が格段に上がります。
などなど。
言葉の引き出しが増えるほど、自身の発想や表現の自由度が広がります。
だからこそ、語彙力を磨くことは、自分の思考を育てるうえでとてもオススメです。
◆ まとめ
そもそも「言葉」とは、現実を形づくる力を持つものです。
「できない」と言う人は行動を止め、
「やってみよう」と言う人は未来を動かします。
だからこそ、語彙が増えるということは、
自分の世界を少しずつ広げていくきっかけになるのです。
今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)















