何かをやめるコツの話~名古屋心療内科コラム

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◆ 減らそうとすると、頭が疲れる

何かをやめたいとき——ゲーム、スマホ、お酒、SNS…。
多くの人が最初に考えるのが「少しずつ減らそう」という方法です。
たとえば「今日は30分だけ」「1杯だけ」「寝る前は控えよう」。
一見、現実的で優しい方法に思えますが、実はこれが一番続かないのです。

なぜかというと、“減らす”という方法は、常に自分を監視しなければならないからです。
「あと何分?」「もう1回だけいいかな?」と、頭の中で何度も交渉が始まります。
心理学でいう“意志力(willpower)”は有限なエネルギーなので、迷えば迷うほど疲れ、結局元に戻ってしまうのです。

◆ 「少し」より「ゼロ」のほうがラク

だからこそ、「1日量を少しだけ減らす」よりも、
「この時間は絶対にやらない」と区切る方が圧倒的にラクです。

人間の脳は「やるか、やらないか」の“白黒”をはっきり決めた方が落ち着きます。
中途半端に「やるかもしれない」と思うと、ずっと意識の中で戦いが続いてしまうのです。

たとえば——

  • 「寝る前の1時間はスマホを触らない」
  • 「平日はお酒を飲まない」
  • 「朝だけSNSを開かない」

こうして“完全なゼロの時間”をつくるだけで、頭のノイズが減り、意志力が温存されます。

◆ 脳は「決断」を減らすと安定する

スタンフォード大学の心理学者ロイ・バウマイスターは、
意志力を“筋肉”にたとえています。
つまり、何度も決断を繰り返すと疲れていく。
だからこそ、「やらない時間」を先に決めておけば、
その間はもう迷わなくていい。

これを“意思決定の自動化”といいます。
ルール化しておけば、意志の力に頼らずにやめられるようになるのです。

◆ 「ゼロ時間」をつくると、心も軽くなる

完全にやめる、あるいは一定時間だけ“ゼロ”にする。
この感覚を一度味わうと、心がすごく軽くなります。
なぜなら、「やらない」と決めた時間は、自分を責める必要がなくなるからです。
「今日もダメだった」と自己嫌悪する代わりに、「ここはもう触らない」と割り切れる。
結果的に、自信と自己効力感が戻ってくるのです。

◆ まとめ:やめるとは、「決める」こと

何かをやめたいときは、無理に少しずつ減らそうとしなくていい。
むしろ、“やらない時間をゼロで決める”方が、人間らしくてうまくいきます。

やめるコツは、我慢ではなく、ルール。
自分との小さな約束をつくって、「その時間は存在しないことにする」。
それだけで、やめたいこととの距離は自然と開いていきます。

今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

(完)

名古屋
官越いやし|ゆうメンタルクリニック心療内科・精神科

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