「心の中」だけは変えられない、という話~名古屋心療内科コラム

◆ 外の出来事は思い通りにならない
生きていると、理不尽に思えることや、どうにもならない出来事に出会うことがあります。
職場での不公平な扱い、学校での理不尽なルール、人間関係での誤解やすれ違い。
「なんでこんな目にあわなきゃいけないんだろう」と思うことは、誰の人生にも必ずあります。
世の中には強い力があります。
会社の決定、社会の仕組み、周囲の言葉や態度。
ときには自分の努力では変えられない大きな流れに巻き込まれてしまうこともあります。
でも、そんな力にすべてを委ねてしまう必要はありません。
なぜなら――心の中までコントロールされることはないからです。
◆ 「心の自由」は誰にも奪えない
たとえ理不尽な状況の中にいても、
「自分の心の中ではどう感じるか」「どう考えるか」までは誰にも決められません。
誰かに命令されても、心の奥で「本当は違うよね」と思うことは自由です。
嫌なことをされたとき、表面上は笑顔でやり過ごしながら、心の中で舌を出してみてもいいのです。
これは子どもっぽい反抗のように思えるかもしれません。
でも実際には、自分の心を守る大切な術(すべ)です。
どんなに強い圧力をかけられても、
「心の中で笑っている自分」を持ち続けることができれば、
本当の意味であなたの自由を奪うことは誰にもできないのです。
◆ 「内側の自由」を守ることが生きる力になる
心理学でも、「内的統制」という言葉があります。
これは「自分の人生をどうとらえるかは自分で選べる」という考え方のこと。
この感覚を持っている人ほど、ストレスに強く、困難をしなやかに乗り越えやすいことが分かっています。
外の出来事をすべて変えることはできません。
でも、心の中で「私は私のままでいい」と思えるだけで、気持ちはずっと楽になります。
◆ 今日からできる「心の自由」の守り方
では、どうすれば「心の中の自由」を保てるのでしょうか。
難しいことは必要ありません。小さな工夫で十分です。
- 嫌なことがあったら心の中で小さく舌を出す
「ふん、そんなこと言われても私は私」と内心で思ってみましょう。 - 自分だけのユーモアを見つける
どんな状況でも「ちょっと笑えること」を探すだけで、心に余裕が生まれます。 - 心の中に安全地帯を持つ
好きな音楽や本、誰にも話さない秘密の楽しみを持つだけでも、「外の世界に振り回されない自分」が強まります。
こうした工夫は小さなことですが、積み重ねるほど「心の中の自由」は守られていきます。
◆ おわりに
世の中には、自分の力ではどうにもならないことがたくさんあります。
でも、心の中でどう生きるかは、誰にも奪えません。
たとえ理不尽な出来事に巻き込まれても、
心の中では自由に笑っていられる。
それはとても強く、そして優しい生き方だと思います。
今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)