「好かれようとしすぎると死ぬ前に後悔する」という話~名古屋心療内科コラム

◆ 死の間際に語られる最大の後悔
オーストラリアの介護士ブロニー・ウェアは、長年にわたり多くの患者を看取ってきました。
そしてその中で人が死の直前に語る後悔の共通点について発見したのです。
それこそが、
👉 「周りの人を喜ばせるために、自分の喜びを犠牲にしていた」 というもの。
人はつい「嫌われたくない」「相手に合わせたほうが楽」と思って、他人の期待に応えようとします。
しかしその積み重ねが、自分の人生を縛ってしまい、最後には「自分らしく生きなかった」という深い後悔につながるのです。
◆ 心理学が示す「他人の期待に縛られる危うさ」
心理学者エドワード・デシとリチャード・ライアンによれば、人間には3つの基本的欲求があります。
- 自律性(自分で選んでいる感覚)
- 有能感(成長している実感)
- 関係性(人とつながっている感覚)
このうち「自律性」が満たされないと、人は強いストレスを抱え、幸福度が下がることがわかっています。
つまり、自分のやりたいことを犠牲にして他人に合わせすぎると、心が消耗してしまうのです。
実際に臨床心理学の調査でも、過度に「周囲に合わせる」人は、バーンアウト(燃え尽き症候群)になりやすいことが報告されています。
特に「いい人でいなければ」という思い込みが強い人ほど、仕事や人間関係のストレスから心を病みやすい傾向があります。
◆ 今日からできる「自分の喜びを守る習慣」
よって、これらを心がけてみましょう。
- 小さな「NO」を言ってみる
全部に応える必要はありません。「今日は休みたい」「今は難しい」と言う練習をしましょう。 - 一日の予定に“自分の喜び”を入れる
好きな音楽を聴く、散歩する、コーヒーを味わう──どんなに小さくてもOK。 - 「これは誰のため?」と自問する
何かをするとき「本当に自分が望んでいるのか」を一度確認してみる。
◆ まとめ:他人を喜ばせる前に、自分を喜ばせよう
- 人生の最後に多くの人が後悔するのは「他人に合わせ、自分を犠牲にしたこと」
- 心理学的にも「自律性」が欠けると幸福度は大きく下がる
- 小さな「NO」と、小さな「自分の喜び」が、後悔しない人生をつくる
👉 人のことを大切にするのは素晴らしいことです。
でも同じくらい、自分の楽しみを大切にする勇気も忘れないでください。
それが、最後に「よかった」と思える人生につながります。
今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)