「好きなことを仕事にする」のよりずっとラクで大切なこと~名古屋心療内科コラム

目次
◆ 理想と現実のギャップ
「好きなことを仕事にできたら最高」──多くの人がそう思うでしょう。
たしかに情熱を持って取り組める仕事は魅力的です。
しかし実際には、好きなことを職業にするのは簡単ではなく、むしろプレッシャーやリスクを伴う場合もあるのです。
心理学の研究でも、好きなことを仕事にすると「完璧にこなさなければならない」という義務感が強くなり、ストレスにつながることだってあります。
◆ ポイントは「今の仕事の中に好きなことを見つける」
では、どうすれば前向きに働けるのでしょうか?
答えはシンプル。
👉 今の仕事の中で「好き」と思える要素を一つでも探すことです。
たとえば…
- 人と話すのが好きなら「打ち合わせの時間」を楽しむ
- 文章を書くのが好きなら「報告書づくり」に工夫を入れる
- 細かい作業が得意なら「ミスを減らすこと」に誇りを持つ
こうした小さな「好き」が、仕事全体を支えるエネルギーになります。
◆ 「ジョブ・クラフティング」
ポジティブ心理学の研究で「ジョブ・クラフティング」という考え方があります。
これは、自分の仕事の中に意義や楽しさを再構築する工夫を指します。
アメリカの研究では、ジョブ・クラフティングを実践する人は、仕事への満足度が高く、離職率も低いことがわかっています。
つまり、仕事そのものを変えるのではなく「見方と関わり方を変える」ことが大切なのです。
◆ 医療現場でのジョブ・クラフティング
特に病院スタッフを対象にした調査では、患者との会話や「ありがとう」と言われる瞬間を大切にしている人ほど、仕事のストレスが軽減されていました。
仕事内容が同じでも、「好きな部分」に焦点を当てた人の方が、燃え尽きにくいことが確認されています。
◆ 今日からできる「好き」を見つける習慣
ですので、これから以下を試してみましょう。
- 一日の仕事の中で「よかったこと」を3つ書き出す
- 「これなら自分が楽しめる」という小さな工夫を入れる
- 周囲に感謝を伝えることで、ポジティブなつながりを増やす
◆ まとめ:仕事は「好きに変えられる」
- 「好きなことを仕事に」は理想的だが現実は難しい
- 今の仕事で「好きな要素」を見つける方が持続的に幸福度が上がる
- ジョブ・クラフティングの実践で、同じ仕事でもやりがいは大きく変わる
大切なのは「すべてを変えなくてもいい」と思うことです。
今ある仕事の中に小さな「好き」を見つけることが、幸せに働く一番の近道なのです。
今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)