苦しみや悲しみがある方が幸せ、という話~名古屋心療内科マンガコラム

◆ 幸せ=ポジティブだけじゃない
「幸せになるにはポジティブに生きること」──よく聞くフレーズです。
しかし心理学の研究によると、実際にはそれだけが真実ではありません。
心理学者 ジョルディ・クオイドバック の研究によれば、人生で苦しみ・悲しみ・不安といった「ネガティブ感情」を多く経験した人の方が、感情の動きが少なかった人よりも人生全体の幸福度が高い傾向があるというのです。
◆ ネガティブ感情の価値
一見「不幸」と思える体験も、実はその人の幸福感を押し上げる大切な要素になっています。
- 苦しみを知っているからこそ、小さな幸せを強く感じられる
- 悲しみを経験したからこそ、喜びの価値がわかる
- 不安に立ち向かったからこそ、自信が育つ
こうした「感情の振れ幅」が、人生をより深く、豊かにしてくれるのです。
◆ 感情のない人生は「平坦」になる
もし大きな悲しみや苦しみを避けて生きたとしたら、一見安定しているように見えるかもしれません。
しかしその分、感情の高まりや幸福感も小さくなり、全体的に「平坦な人生」になってしまいます。
クオイドバック博士が示したのは、ネガティブな感情も含めて多様な感情を経験する人ほど、長期的な幸福度が高い という事実。
つまり「嫌な感情を排除しよう」とするのではなく、「その感情をどう受け止め、糧にしていくか」が大切なのです。
◆ ネガティブを味方にするために
では、苦しみや不安を経験したとき、どうすればそれを幸福につなげられるのでしょうか。
- 感情を否定しない
「こんなことで落ち込むなんてダメだ」と思わず、まずは受け止めましょう。 - 言葉にしてみる
日記や誰かとの会話で、自分の感情を言葉にすると整理されやすくなります。 - 意味づけを変える
「この経験があったから成長できた」と、後から価値を見出す習慣を持ちましょう。
◆ まとめ:感情の幅が幸福の幅を広げる
苦しみや悲しみを避けたいと思うのは自然なことです。
しかし、それらを経験した人ほど、人生の幸福度が高いという研究結果は、私たちに大きな希望を与えてくれます。
幸福とは「ネガティブを排除すること」ではなく、感情のすべてを味わい尽くすこと。
そう考えると、あなたが今経験している苦しみも、未来の幸福をより豊かにする大切な一部なのかもしれません。
今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)