「ちょっとだけ」が集中力を消し去る、という話~名古屋心療内科コラム

◆ 「ちょっとスマホ」…その代償は30分
「通知が来たからちょっと確認するだけ」
「息抜きにSNSを少しだけ」
「ちょっとマンガ読もう」
そんな風に、仕事や勉強をしているときに、少しだけ他のことをしたくなることはありませんでしょうか?
実はカリフォルニア大学アーバイン校の心理学者 グロリア・マーク博士 の研究によると、作業を中断すると 元の集中力に戻るまでに平均23分15秒もかかる ことが明らかになっています。
つまり、スマホをチラ見しただけで、あなたの約30分が消えている のです。
◆ 脳は切り替えが苦手
心理学では、これを 「タスク・スイッチング・コスト」 と呼びます。
人間の脳は、今やっていることから別のことへ注意を切り替えるときに大きな負担を受けます。
「メールを見た → 戻る」
「LINEを返す → 戻る」
そのたびに、脳は本来のペースを失い、ゼロから立ち上がるように集中を再構築しなければなりません。
だから「少し休憩しただけ」のつもりが、実際には30分近い損失になってしまうのです。
◆ 中断の積み重ねが1日を潰す
考えてみてください。
1日に5回、中断したとしましょう。
- 23分 × 5回 = 約115分
つまり 2時間近い集中が失われる のです。
仕事や勉強が「なかなか進まない」と感じている人は、能力ややる気ではなく、この「中断の連鎖」によって時間を奪われているのかもしれません。
もちろんですが、積極的な休憩を否定するものではありません。
休みによって、効率的に仕事や勉強ができることもあるでしょう。
しかしたいてい「流されるように」とか「つい」などの気持ちでやってしまうもの。
もしあなたが、積極的ではなく、受動的に何かをやっているなら、ちょっと気をつけた方がいいかもしれません。
◆ まとめ:「ちょっと」があなたを壊す
- 中断から元の集中に戻るまで23分15秒
- 1日の中断が積み重なれば、数時間が消える
- 集中力を守ることは、生産性を守ること
スマホを見たたった数秒が、人生から30分を奪う──。
そう考えると、通知を切ることは「最強の時間術」だと言えるかもしれません。
今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)