戦時中の方が自殺が少ない!?という話~名古屋心療内科コラム

「戦時中の方が自殺率が少ない」
という統計があります。
一見皮肉ですが、戦時中は、当然、平常時にくらべて命の危険は増えます。
すると多くの方が「いかにして生き残るか」を常に意識することになります。
結果「自殺」ということを忘れてしまったり、そちらについて考える余裕がなくなる可能性が高いと考えられます。
似た話で、イギリスの作家チェスタートンは
「どんな悲観的な人間も、拳銃をつきつけたら、突然に悲観的な人間でなくなる」
というある意味ムチャクチャなことを言っていますが、それに近いことがあるかもしれません。
いえ、だからといって、戦争を賛美するワケではありません。
間違っても戦争は「ないに越したことはない」ものです。
たとえ自殺率が下がっても、それ以上に多くの方が亡くなるわけですから。絶対望みません。当然です。
ただこれ、自殺を防ぐ一つのヒントになる話ではないか、と思うのです。
人間、生き残るために必死であったり、何か大きな問題にたいして全力で対処していると、「悩んでいるヒマもなくなる」可能性があります。
よってもしあなたが何かの悩みを抱えていたら、何か少しでもいいので「夢中」なことを見つけるのが手です。
マンガでもゲームでも動画でも構いません。
とにかく数十分から一時間くらい、または数分でもいいので「楽しめる」ものを見つけましょう。
内容は何でも構いません。
または「今から五分だけ、この作業をやる!」ということを決めて、それに注力してしまうのもアリです。
時間制限を作ることで、それ以外の悩みを忘れる可能性もあります。
人間にとって最重要なのは「忘れる」こと。
根本解決なんてしなくていいんです。
今この瞬間に少しでも忘れて、良かったと思う時間を重ねること。
それを繰り返していけば、十分なんですよ。
今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)