「完全に満たされた人生は危険かも」という話~名古屋心療内科コラム

動物行動学者のジョン・B・カルフーンは、マウスを「エサが豊富にあって、天敵が一切いない環境」に入れてみました。
するとマウスたちは、最初のうちはとても繁栄しました。当然ですね。
しかし、しばらくすると、逆に数を減らしてしまい、最後にはすべてのマウスが死んでしまいました。
マウスにとっては、たとえエサが不足したり、捕食される危険があったとしても、他の生物などもたくさんいる世界の方が、生き残りにおいては重要だったと考えられます。
これ、そのまま当てはめていい話ではないかもしれませんが、人間においても、近いことは言えるかもしれません。
親から莫大な資産を引き継いだ二代目・三代目が、何不自由ない環境で育ちすぎてしまったために、ハングリー精神を持てず、その財産を溶かしてしまった……なんていう話は多いものです。
そうでなくても、たとえばゲームで、「最初からたくさんのアイテムやお金を持ってスタートする」みたいな内容だったら、面白さは半減してしまうとも考えられます。
自分自身で必要なものを得ていったり、工夫したり、時に外敵と戦ったり……。それを繰り返すことが、本人の気持ちを一番高め、人生全体を刺激で満たします。
それこそが幸せと、長期的な充実につながるのではないでしょうか。
よってあなたが毎日に不満や不足をいだいていたら、「だからこそ」あなたの生活が良い方向に変わる、と考えることです。
そして今日は、とりあえず一分でもいいから、変えるための行動をしてみましょう。
たった一分と考えれば、「それくらいなら……」と思えるはずです。
ぜひぜひ試してみてくださいね。
今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)