ADHDは「生まれ月」のせいかもしれないという話~名古屋心療内科コラム

カナダのブリティッシュ・コロンビア大学のリチャード・モローは、100万人近くの6~12歳の子供たちを調査しました。
ここでカナダでは、「1~12月」までが一つの学年となります。
すなわち12月生まれは一学年のうち、一番小さな子供、1月生まれは、一学年のうち、一番大きな子供となります。
さてこのとき、12月生まれの子供は、1月生まれの子供よりも「ADHD」と診断を受けることが多くなっていました。
男児では30%高く、女児で70%も高くなっていたのです。
すなわちADHDと診断を受けている子供の中には、
「ただ、同じ学年の子供にくらべて成長が幼いから」
という理由で診断を受けている子供が一定数いる
という可能性を示唆しているのです。
ADHDの診断基準として
・話を聞かない
・落ち着きがない
・集中力がない
・物事を順序だてて考えるのが不得意
などの基準がありますが、実は単純に「同じ学年の子供たちと比べて、まだ幼いから」という理由で、それらの基準に当てはまったように感じてしまい、親が心配して受診をさせ、結果的に「ADHD」の診断が出ている可能性もありえるのです。
もちろんですが、
「ADHDは生まれ月のせいだけ!」
なんて言い切るつもりはありません。
これは「一部の要素」の話で、だからもしあなたが思い当たることがあったとしても、「そこまで重く悩みすぎることはない」という話として紹介させていただきました。
特にみなさんが「自分、ADHDかもしれない」と思ったときに、その根拠として
「だって小学生の時に、周りに比べて集中できなかったし…」
みたいな理由がメインで、なおかつ日本における早生まれ(1~3月など、学期の遅い時期)であるなら、それはほとんど心配しなくていい、ということになります。
ただ当然ですが、もしみなさんがすでに「大人」で、さらに「今現在」、職場の人たちに比べて「集中力がない」とか「話を聞けない」などがリアルにあるなら、それは一つの基準になるかもしれない、と考えられる、ということになります。
もしもADHDでお悩みの方は治療を受けるべきですし、また薬剤や治療によって、より集中力が改善できる可能性は、多くの方にあると思っています。
実際に当院でも多くの方が治療を受けております。
気になることがありましたら、ぜひお気軽にご連絡いただければ幸いです。
(完)