うつを防ぎたければ、理想は捨てろ!?~名古屋心療内科コラム

将来、こんな人間になりたい!
私はこんなふうに生きたい!
こんな仕事について、こんな生活をしたい!
誰でも、そんな理想を持っていると思います。
しかしこの理想。
決していいもの、というわけではありません。
実はスペインのバルセロナ大学の心理学者であるフェイクサスらは、うつの人と健康な人たちを比較して、どんな精神状態であるかを調べました。
その結果、健康な人は34.5%が葛藤を抱えており、
うつの人は68.3%が葛藤を抱えておりました。
この葛藤と「現実と理想とのギャップ」のこと。
「今の自分はダメだ、もっと本来はこうあるべきなのに…!」
と思うことが多いほど、うつになる人が増えていました。
特に葛藤をが強い人は、多くが「自殺」をしようとした経験まであったのです。
すなわち、うつになるかどうかは、今の自分の客観的な立場に関係なく、「理想とのギャップ」によって変わってくる、ということ。
たとえば年収が低くても「まぁ、こんなもんか」と思っていれば精神的に健康でいられますし、
年収が高くても「いや、オレは本来もっと高くもらえるはずなんだ」と思っていたら、気持ちが落ち込んでしまう、というわけです。
よってもしあなたが「葛藤」こと理想と現実のギャップを感じていたら…。
まずひとつは、その理想に近づくために、努力をすることです。
1mmでもいいので、行動をしてみましょう。
「小説家になりたい」のなら、一日一文字でもいいから書いてみること。
「お金持ちになりたい」のなら、お金を稼ぐ計画書を、一文字でもいいから書く、などで始めてみましょう。
そしてもう一つの方法は「理想を変える」こと。
とはいっても、それは悲しいことではありません。
いい意味で「今の人生の良いところ」を探しましょう。
「この人生のここが好き」
「今、こんないいものも持ってるよね」
「今の生活のここが恵まれてる」
など、いい点を見つけましょう。すなわち「今の人生」と「理想」のギャップを埋めるための思考変化を行うわけです。
ぜひぜひ試してみていただければ幸いです!
今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)