恐怖体験が恐怖症を作るわけではない!?~名古屋心療内科コラム

ニューヨーク大学のピーター・ディナルド犬恐怖14名怖くない21名の比較。
小さなころに犬に追いかけ回されたり、
噛みつかれたりシた実体験はまったく関係なかった。
犬恐怖の人の56%にかまれた思い出、怖くない人は66%
ニューヨーク大学のピーター・ディナルドは、
「犬に(恐怖症レベルに)恐怖心を抱く人」14人と、「犬に恐怖心を抱かない人」21人を対象にして
「実際に、小さなころに、犬に追いかけられたり、噛みつかれたりするなど、恐ろしい体験をしたことがありますか?」
と聞きました。
すると。
「犬に恐怖心を抱く人」は56%が「そういう体験がある」と答えました。
逆に
「犬に恐怖心を抱かない人」は、66%が「そういう体験がある」と答えたのです。
……えっ?
あれ、恐怖心を抱かない人の方が、体験がある人が多いくらいじゃないですか?
普通に考えたら、恐怖体験が多い方が、恐怖心が強くなると思われますよね。
ここで調査をしたディナルドは
「小さなころの恐怖的な体験と、今の恐怖心は『関係がなかった』」
と結論づけたのです。
もちろん、14人と21人レベルの調査なので、常に絶対に正しい!と断言するものではありません。
しかし一つの考えとして「恐怖体験と恐怖心には関係がない」という結果がある、ということを覚えておくといいかもしれません。
これは逆に言えば
「何かでイヤな体験をしたからといって、それが長期的に大きな影響を与えるとは限らない」
ということになります。
すなわち経験だけが人間を作るのではなく、本人の感じ方や性格、またその後の環境などによって変わっていく、ということです。
ですのでもしあなたが何かイヤな経験があって、「その結果」恐怖心がある……と思っていても、そこまで将来を悲観する必要はないのです。
今後変わっていく可能性だって十分あるからです。
あまり自分を追い込まず、そしてその恐怖心を大きなものだと思い込みすぎず、何か他のことに意識を向けていくというのもアリかもしれません。
今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)