「ストレスがない生活」がダメな理由~名古屋心療内科コラム

よく「ストレスがない生活」に憧れる人は多いものです。

特にストレスを感じるたびに「あぁ、この生活から逃れたい!」「このストレスがなくなればいいのに!」と考えたりしてしまいます。

しかしコレって本当にいいことなのでしょうか。

そもそもストレスがまったくない生活というのは、逆に退屈だったりするものです。

というのも人間は「上昇」や「変化」によって幸福を感じるようにできているからです。
たとえば「今までできないことができるようになった!」とか「病気だったのが、治った!」とか。
そんな状況にこそ、何より強い幸せを感じます。

他にも「好きだった人が、付き合ってくれた!」とか「大好きな相手と結婚できた!」みたいなときも、やはり幸せを感じます。

これは「変化」があるからです。

そしてその変化には、総じて前提として「ストレス状況」があります。

「好きな人と付き合いたいけど、断られるかもしれない」
「スキルを得たいけど、それが大変な道のりだ」
などです。

それこそ「病気(からの回復)」だって、病気は何よりのストレスになります。

すなわち変化というのは、多くが「ストレス⇒ストレスがなくなる」という状況であり、幸せのためには、まず何より「ストレスが必要」ということになるわけです。

よってストレスがあった時に「こんなストレスがなければいいのに!」と考えるのをやめましょう。
そのストレスがなければ、次の喜びもありません。

「ストレスが来た! よしっ! だからこそ、ここを改善した瞬間に喜びがあるんだ!」

と考えてみましょう。
筋トレにおける負荷や、マッサージにおける圧力みたいなものです。

とはいえ、もちろんですが、あまりに重すぎるストレスがかかり続けている状況は良くありません。
そんなときはそこから逃げたり、逃げられなければメンタルクリニックなどの利用もアリです。

ただ日常的なストレスにおいては、プラスになりえる、と思ってみるだけでも、気持ちが少しだけ前向きになるものです。
ぜひぜひ覚えておいていただければ幸いです。

何か少しでも参考になることがあれば幸いです。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

(完)