未来に希望を託すのは、先延ばしと同じという話。~名古屋心療内科コラム

◆ 「未来に託す」という言葉の甘い罠
「そのうち頑張ろう」
「落ち着いたら始めよう」
「来年こそは変わりたい」
一見すると前向きな言葉ですが、
その実態は“行動を先延ばしにする魔法の言葉”になっていることが多いです。
「未来に希望を託す」というのは聞こえがいい。
でも言い方を変えれば、**「今やらない理由を作っているだけ」**なんですよね。
人は、今すぐ行動するよりも「いつか」という言葉に逃げ場をつくる方が楽なんです。
心理学ではこれを「時間的割引(temporal discounting)」と呼びます。
“未来の利益”より“今の楽”を優先してしまう心理。
この小さな甘えが積み重なると、未来の「後悔」という形で返ってきます。
◆ 「未来の自分」がやってくれると思っていませんか?
「明日の自分はもっとやる気がある」
──こんなかんじで“未来の自分”に丸投げした経験、ありますよね。
けれど実際のところ、明日のあなたは“今日と同じあなた”です。
もし今日できないことがあるなら、明日も同じ理由でできない可能性が高い。
人間のやる気や行動力は、習慣化しない限り安定しないものです。
◆ 「希望」には行動がセットで必要
希望を持つこと自体は、とても大切です。
でも、希望は行動とセットでなければ意味がありません。
心理学者チャールズ・スナイダーは「希望理論」でこう言いました
希望とは「目標」「手段」「やる気」の3つが揃った状態である。と
つまり、「いつか〇〇したい」だけでは、希望ではなく“願望”です。
そこに「そのために今できること」を加えて、はじめて“希望”に変わるのです。
◆ 「今できること」を、たったひとつでいい
未来に託すのをやめるために、
難しい目標を立てる必要はありません。
- 1ページだけ読む
- 3分だけ整理する
- 10秒だけ深呼吸する
たったこれだけでも、「今を頑張る」力が戻ってきます。
なぜなら、行動とは“自己効力感”
「自分は動ける」という実感を取り戻すための最初のスイッチだからです。
◆ まとめ
「未来に希望を託す」という言葉は、
聞こえは前向きでも、行動を止めてしまうリスクをはらんでいます。
未来を信じるなら、今日を軽んじず、今を精いっぱい頑張る。
未来の成功は、「今」という点の連続でしか作れません。
今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)


















