推しを持つことの大切さ。~名古屋診療内科コラム

◆ 「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」の逆もある
「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」とは、嫌いな相手に関するものすべてを嫌いになる、ということわざです。
けれど、これには逆パターンもあります。
つまり、「好きが一つあれば、すべてがよく見える」ということ。
たとえば、誰かを少し好きになると、
その人の趣味、出身地、使っている言葉まで好ましく感じたりしますよね。
これを心理学ではハロー効果と呼びます。
一つの好印象が、全体の印象を明るく照らしてしまう現象です。
人間の心は、ひとつの「好き」に驚くほど左右されるんです。
◆ 「推し」がいる人は強い
この仕組みは、日常生活にも応用できます。
たとえば、推しのアーティスト、キャラクター、作品、選手——
どんな存在でも構いません。
「推し」がいるだけで、日常の見え方は変わります。
朝起きてSNSをチェックするのが楽しみになったり、
仕事を頑張る理由が「推しのグッズを買うため」に変わったり。
それだけで、世界が少し輝いて見える。
心理学者バーバラ・フレドリクソンの拡張‐形成理論(broaden-and-build theory)によると、
ポジティブな感情は人の思考や行動の幅を広げ、
創造性や人間関係の質を高めることが分かっています。
つまり、「好き」という感情は、人生を成長させる“エネルギー源”なんです。
◆ 「推し」は自分を救う小さな神様
推しがいる人は、孤独を感じにくいとも言われています。
それは、推しを通して自分の中に希望を見いだしているからです。
たとえ直接会えなくても、「あの人がいる」「あの作品がある」と思えるだけで、
心の支えになる。
だからこそ、「誰かを好きになる」「何かを好きでい続ける」ことは、
決して軽いことではなく、生きる力そのものなんです。
◆ まとめ:好きが一つあれば、人生は十分
嫌いなものを減らすより、好きなものを一つ増やす。
それだけで、人生の景色は変わります。
推しが一人でもいれば、
「世界って悪くないな」と思える瞬間が増える。
そしてその小さな“好き”が、
あなたの人生全体を優しく照らしてくれます。
今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)















