「集中力」と考えない方がいい理由~名古屋心療内科コラム

◆ 集中力を意識すると逆効果
「集中しなきゃ」と考えた瞬間に、集中できなくなった経験はありませんか?
実はこれは心理学的にも説明がつきます。
人間は「集中しよう」と意識すればするほど、脳は「できているか?できていないか?」を監視してしまい、結果的に注意が分散してしまうのです。
これを心理学では 心理的リアクタンス(抵抗)理論 と呼びます。
◆ 「机に向かうだけ」で集中が生まれる
そこでおすすめなのが、集中しようとせず、とにかく机に向かうだけ という発想です。
心理学者ミハイ・チクセントミハイが提唱した「フロー理論」でも、人が没頭状態に入るには「最初の行動を始めること」が条件とされています。
つまり「集中するぞ」と気合を入れるより、まず行動を始めることの方が集中につながりやすいのです。
◆ 作家や研究者の習慣
さらに多くの作家や研究者も「最初の5分だけやろう」と自分をだますことで、自然に長時間の集中に入っていきます。
これは 「作業興奮(work excitation)」 と呼ばれ、作業を始めることで脳が活性化し、集中モードに切り替わる現象です。
たとえば村上春樹氏は、毎日同じ時間に机に向かい、淡々と作業を始めるルーティンを持っています。
彼の膨大な執筆量は、この「まず机に向かう」シンプルな行動習慣に支えられているのです。
◆ 「集中しない戦略」を取り入れる
よって以下の方法を試してみましょう。
- 時間を区切る
「5分だけやる」と決める。意外とそのまま1時間続くことも多い。 - 環境を固定する
「机に向かう」「パソコンを開く」などのルールを作り、集中のスイッチにする。 - 集中は副産物と考える
「集中するぞ」ではなく「座ってるだけでOK」と思えば、自然と集中はやってくる。
◆ まとめ:集中は「狙う」より「始める」
- 「集中しよう」と考えるほど注意は散漫になる
- 「机に向かうだけ」で作業興奮が起き、自然に集中できる
- 大切なのは「狙わないこと」ではなく「まず始めること」
👉 集中力は「意識するもの」ではなく「副産物」。
とりあえず机に向かってみる、それが最高の集中法なのです。
今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)