「なぜ?」より「何のために?」と考える方がいいという話~名古屋心療内科コラム

目次
◆ 「なぜ?」は人を消極的にする
誰かに「なぜそれをやるの?」と聞かれると、多くの場合、答えは 防御的・消極的 になりがちです。
- 「なぜこの会社に入りたいの?」
→「給与がいいから」「安定しているから」 - 「なぜあの人とつきあいたいの?」
→「美人だから」「ステキだから」
一見もっともらしい答えですが、どこか後ろ向きで、自分の主体性を感じにくいですよね。
心理学的にも「なぜ?」という問いは、人に 原因探し をさせるため、問題や不足に意識を向けやすいとされています。
◆ 「何のために?」は人を主体的にする
一方、「何のために?」と聞き方を変えると、不思議なことに答えは 前向きで目的志向 になります。
- 「何のためにこの会社に入りたいの?」
→「自分のアイデアを形にしたいから!」「社会に貢献できる仕事をしたいから!」 - 「なぜあの人とつきあいたいの?」
→「幸せになりたいから!」「あの人を幸せにしてあげたいから!」
つまり「なぜ?」は過去や外部要因に焦点を当てますが、「何のために?」は未来と自分の行動に焦点を当てるのです。
◆ 心理学的背景:言葉が認知を変える
心理学には フレーミング効果 という有名な現象があります。
「同じ内容でも、どう表現されるかで人の判断や感情が変わる」というものです。
実際、人は 外発的な理由(給与・安定)よりも内発的な理由(やりたいこと・目的) によって行動するときの方が、モチベーションが高まり、幸福感や継続力も高いとされています。
つまり、「なぜ?」を「何のために?」に言い換えるだけで、外発的な動機 → 内発的な動機 に変換されやすくなるのです。
◆ 企業研修でも活用される
実際にビジネスの現場では、「Why(なぜ)」よりも「For What(何のために)」を意識させる研修が導入されています。
ある企業では、社員に「なぜこの仕事をしているのか?」ではなく「この仕事は何のためにあるのか?」と問い直させることで、仕事の意義が鮮明になり、離職率が下がったという報告もあります。
◆ 今日からできる「言い換え習慣」
ですので具体的に、こんな方法を考えてみましょう。
- 自分への問いかけを変える
「なぜ続かないんだろう?」ではなく、「何のためにやりたいのか?」と聞いてみる。 - 他人に質問するときも意識する
部下や子どもに「なぜできなかったの?」ではなく、「何のためにやるといいと思う?」と投げかける。 - 目標設定のときに使う
「なぜこの目標なのか?」ではなく、「この目標は何のためにあるのか?」と書き換えると、ワクワク感が増す。
◆ まとめ
- 「なぜ?」は過去や外部要因に意識を向けさせ、消極的になりやすい
- 「何のために?」は未来と主体的行動に意識を向けさせる
- 心理学的にも内発的動機づけを高め、継続力や幸福感を引き出す
- 今日から問いの言葉を変えるだけで、あなたの思考はもっとポジティブになる
👉 次に迷ったときは、「なぜ?」ではなく「何のために?」と聞いてみましょう。
その一言の違いが、行動と人生の質を大きく変えてくれるはずです。
今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)