恐怖だけでは続かないので喜びを見つけるべき、という話~名古屋心療内科コラム

脳は「怖さ」に強く反応する
私たちの脳の中には、扁桃体(へんとうたい) と呼ばれる感情の中枢があります。
誰かに怖がらされたり、危険を想像したりすると、扁桃体が活性化し、身体は「生物学的脅威」に直面したときのように素早く反応します。
だからこそ「恐怖を与えるメッセージ」は短期的には強力です。
「このままだと死ぬかもしれません」
「重病になりますよ」
などと言われれば、誰でも強い危機感を抱き、すぐに行動を変えようとします。
恐怖で得られる行動は一時的
しかし問題はその「持続力」。
恐怖で駆り立てられた行動は、激しく、迅速に始まりますが、長続きしません。
たとえば「心臓発作の危険がある」と聞いて急に食事制限や運動を始めても、1週間後には元の生活に戻ってしまう…そんな経験をした人も多いのではないでしょうか。
これは、感情中枢である扁桃体の過剰な活性化が、
脳の「判断力」「実行力」を司る前頭前野に悪影響を与えてしまうからです。
その結果、行動は一時的でまとまりのないものになり、習慣として身につくことは少ないのです。
恐怖ではなく「希望」が続ける力になる
心理学の研究でも示されている通り、長期的に人を動かすのは恐怖ではなく 「ポジティブな動機づけ」 です。
「病気になるかもしれないから」ではなく、
- 「健康になれば好きな旅行を楽しめる」
- 「元気でいると大切な人ともっと長く過ごせる」
- 「今より楽に毎日を送れる」
といった 希望や喜びにつながる未来像 が、人の行動を支え続けます。
他にも「この運動のこの部分は好き」「外を散歩するということは楽しい」などでも構いません。
とにかくすべての行動の中に「ちょっとした喜び」を見つけることです。
まとめ
恐怖で人を動かすことは、短期的な「火付け」にはなりますが、長期的な習慣形成にはつながりません。
大切なのは「怖さ」ではなく「ワクワク感」や「意味づけ」。
人が本当に変わるのは、恐怖から逃げたいからではなく、未来をよりよくしたいという希望を持てたとき なのです。
今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)