人間になった人魚姫と王子様の、新婚生活での悩み。~名古屋心療内科マンガ

目次
◆ 胃袋を掴むだけじゃない?「食」が夫婦仲を決定づける心理学的理由
「性格の不一致」と同じくらい、離婚原因の上位に挙がるのが「食の好みの不一致」です。
毎日の食事は、単なる栄養補給ではありません。
夫婦やパートナーとの共同生活において、食事はコミュニケーションの根幹です。
なぜ相手の好みに合わせることが重要なのでしょうか?
なぜ美味しいものを食べると関係が良くなるのでしょうか?
今回はそんな話です。
◆ 「ランチョン・テクニック」を味方につける
心理学者グレゴリー・ラズランが提唱した「ランチョン・テクニック」という有名な理論があります。
人は、美味しい食事や快適な環境を与えられると、その時に一緒にいた相手や、その話題に対してもポジティブな感情を抱きやすくなるという心理効果です。
政治家が会食で交渉したり、ビジネスで接待を行ったりするのは、この効果を狙ったものです。
家庭でも全く同じことが言えます。 相手の好物を作るということは、単に空腹を満たすだけでなく、「あなた = 快楽」という連合学習を強化する行為なのです。
逆に、相手が嫌いなものを出し続けることは、無意識のうちにあなた自身へのネガティブな感情を植え付けることになりかねません。
◆ 「同じ釜の飯」は最強の信頼形成
さらに心理学には「ミラーリング」というテクニックがあります。 相手と同じ行動をとることで、親近感や仲間意識を生み出す手法です。
食事は、自然なミラーリングを行う絶好の機会です。
・同じ料理を食べる
・「美味しいね」と同じ感情を共有する
・同じリズムで咀嚼する
この一連の動作の共有が、言葉以上の連帯感を生みます。 食の好みが合うと仲が良いと言われるのは、この共有体験の回数が圧倒的に増えるからです。
もし好みが合わない場合は、無理に合わせる必要はありませんが、少なくとも「相手が美味しそうに食べている姿」を肯定することは重要です。
◆ 外食が関係性をリセットする理由
マンネリ化を防ぐために、「外食」は非常に有効な手段です。 これには2つの心理的メリットがあります。
非日常性による刺激 新しい店や珍しい料理は脳に刺激を与え、ドーパミンを分泌させます。この高揚感が、一緒にいるパートナーへのときめきと誤認され、関係がフレッシュになります。
ノイズの除去 家での食事は、料理、配膳、片付けという「家事」がセットです。外食はそのタスクを消去し、純粋に「相手との会話」だけに集中できる環境を作ります。
◆ まとめ
「食」を制する者は、夫婦関係を制します。
・相手の好物を把握し、提供する ・同じものを食べて共感する ・たまには外食で刺激を入れる
これらは、日々の生活の中でできる最も簡単なメンタルケアであり、関係維持の投資です。 今日の夕食、あるいは週末のランチ選びから、意識を変えてみてはいかがでしょうか。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)


















