自分に正直すぎるボクサー。~名古屋心療内科マンガ

皆さんは、家に帰って玄関のドアを閉めた瞬間、大きなため息をついたことはありませんか。
それはきっと、外でつけていた「重たい仮面」を、やっと外せた合図なのだと思います。
自分もよくあります。
初対面の人と話すときは、必要以上に「物分かりの良い人間」を演じてしまいます。
相手の話に大きく頷きながら、内心では「今の話、全然わからなかったけど、ここで質問したら話の腰を折るかな」なんてグルグル考えているのです。
今日は、そんな僕たちがついつい締め付けてしまう心のコルセットについて、少し緩めるお話をさせてください。
◆ 「理想の自分」と「本当の自分」のズレ
心理療法の巨匠、カール・ロジャーズは、人の悩みや苦しみの多くは「自己不一致」から生まれると言いました。
これは、「こうあるべき自分(理想的な自分)」と、「実際の自分(現実の経験)」がズレている状態のことです。
例えば、本当は傷ついているのに「私は平気です」と振る舞ったり、本当は怒っているのに「気にしていません」と笑ったりする。
このズレが大きければ大きいほど、心は悲鳴を上げます。 まるで、サイズが2つも小さいお洒落な靴を無理やり履いているようなものです。周りからは「素敵な靴ですね」と褒められるかもしれませんが、本人の足は血だらけで、一歩歩くごとに激痛が走ります。
これでは、人生を楽しむどころではありません。
◆ 自分を受け入れるという「逆説」
ロジャーズはまた、非常に興味深い言葉を残しています。
「不思議な逆説だが、あるがままの自分を受け入れたとき、人は初めて変わることができる」
私たちはつい、「ダメな自分を隠して、完璧な自分になろう」と努力します。しかし、心理学的には順序が逆なのです。 「泣き虫な自分」「すぐに嫉妬してしまう自分」「だらしない自分」。
そんなカッコ悪い部分も含めて、「まあ、これも私だよね」と認めてあげたとき、初めて心に安心感が生まれ、自然と前へ進むエネルギーが湧いてくるのです。
否定から成長は生まれません。
植物が育つのに必要なのが、厳しい冬の嵐ではなく、暖かな春の日差しであるのと同じです。
自分自身に「そのままでいいよ」と温かい日差しを向けることが、結果として自分を成長させる一番の近道なのです。
◆ 正直さは、最高のフィルタリング機能
また、自分に正直でいることには、もう一つ大きなメリットがあります。
それは「人間関係のフィルタリング」です。
無理をして相手に合わせて付き合っていると、あなたの周りには「無理をしているあなた」を好む人が集まってきます。
これでは、いつまで経っても仮面を外せません。
逆に、正直な自分でいると、去っていく人もいるかもしれませんが、「正直なあなた」を好きだと言ってくれる人が必ず残ります。
もちろんマンガのような状態はさすがにアレですけども。
◆ 誰もが不完全で、愛おしい
何にせよ、もし今、あなたが周囲の期待に応えようと必死で、息苦しさを感じているなら、
今日は少しだけその力を抜いてみてください。
立派な人にならなくてもいいんです。ただ、あなたであること。それだけで十分価値があるんです。
完璧な人間なんて、この世には一人もいません。
みんな、何かしらの凸凹を抱えて生きています。その凸凹こそが、あなただけの形であり、人間味という魅力なのです。
今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)




















