うつで「なぜか太る」理由とは? 〜名古屋心療内科コラム


目次
◆ 「最近なぜか太った…」それ、身体のせいじゃないかも?
うつというと
「食欲が落ちて痩せるイメージ」が強いかもしれません。
しかし実は、うつの中には “食欲が増えて太りやすくなるタイプ” もあります。
これは決して珍しいことではありません。
むしろ、医学的にもきちんと説明ができる現象なのです。
◆ うつで太りやすくなる3つの理由
① 気分を上げるために「食べる」を選びやすくなる
人は不安や落ち込みを感じると、つい手軽な快楽に逃げてしまいます。
心理学では 情動的摂食(emotional eating) と呼ばれるものです。
特に甘いものや炭水化物は
脳内にセロトニンやドーパミンが一瞬だけ増え、
“気分が軽くなった気がする” ため選ばれやすくなります。
② 非定型うつの特徴として「食欲増加」がある
医学的に認められている非定型うつでは、
- 食欲増加
- 過眠
- 身体が重たい(鉛様麻痺)
などがよく見られます。
つまり、うつ=食べない は半分だけ正しくて、
うつ=食べすぎる もまた現実 なのです。
③ 行動量が減ることで代謝が落ちる
気分が落ちると外出や活動が減ります。
活動量が減るとエネルギーが消費されにくくなり、
結果的に体重が増えてしまうこともよくあります。
◆ 「うつでも太る」は当たり前。あなたのせいじゃない
マンガの中でも語られていましたが、
“うつ=痩せる”という思い込みがあると、
体重が増えた自分を責めてしまいがちです。
しかし、これは 心と脳の働きによる自然な反応 です。
あなたの意志が弱いわけではありません。
あなたがだらしないわけでもありません。
むしろ、体重の変化は「心が疲れているサイン」。
気づけたあなたは、とても大事な一歩を踏み出しています。
◆ 改善への一歩
マンガの通り、まずは 軽い運動 が有効です。
散歩でも、ストレッチでも、家の中の移動でもかまいません。
運動には
- セロトニンの増加
- ストレスホルモンの減少
- 睡眠の質向上
といった効果が科学的に証明されています。
そして、
「何をしても苦しい」と感じるなら、
それは心が限界を迎えているサイン。
そんなときは、
もし心が追いつかないと感じたら、クリニックで話を聞いてもらうのもひとつの方法です。
◆ まとめ:太ったことを責めないで。心が助けを求めているだけ。
うつの体重変化には、人間の脳や心理の仕組みが深く関わっています。
- うつでも太るのは普通
- 過食は心のSOS
- 自分を責める必要はない
- 運動や相談は回復につながる
“体重”は、心の状態を映す鏡です。
今のあなたは、ただ頑張りすぎて疲れているだけ。
そんな自分を少しだけ、いたわってあげてくださいね。
今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)


















