モチベーションは「10秒の行動」から始まる、という話。~名古屋心療内科マンガ




いつも「やらなきゃ」と思っているのに動けないあなたへ
仕事や勉強、片づけ、メールの返信——。
「やらなきゃ」と思いながら、体が動かない。
そんな自分にため息をついた経験は、誰にでもあると思います。
でも、そこで自分を責める必要はありません。
人間の脳は「面倒なこと」「時間がかかること」を避けようとする性質を持っているからです。
心理学ではこれを「認知的回避(cognitive avoidance)」と呼びます。
つまり、あなたが動けないのは“怠けている”のではなく、“脳が自分を守っている”だけなのです。
「10秒だけやろう」で脳をだます
ここで役立つのが、今回のマンガにも出てきた魔法の言葉——
「10秒だけやろう」です。
これは脳科学的に見ても非常に理にかなった方法。
大きな目標や作業を前にすると、脳は「エネルギーを大量に使う」と判断し、
行動をストップさせようとします。
けれど「10秒だけ」と思うと、脳は「それくらいなら大丈夫」と判断し、
行動のハードルを一気に下げてくれるのです。
この「ほんの少し動く」ことによって、
やる気のホルモンと呼ばれるドーパミンが分泌され、
自然と「もう少しやってみよう」と思えるようになります。
これは心理学でいう作業興奮(task-induced activation)という現象で、
行動を起こすことで、後からやる気が生まれるのです。
続けるコツは「0.1秒でもいい」と思うこと
もし「10秒でも動けない」と感じるなら、さらに小さくしてみましょう。
「3秒だけ」「1回だけ」「とりあえず机に向かうだけ」。
これは決して甘えではありません。
脳は“行動を始める瞬間”に最も大きなエネルギーを使うため、
その最初の一歩を小さくしてあげるのがコツです。
やり始めさえすれば、自然と流れに乗ることができます。
マンガの中でも描かれていたように、途中で「もうやめたい」と思ったときにも
「あと10秒だけ続けよう」と自分に声をかけてみてください。
ほんの少しの粘りが、継続の習慣を作ります。
「やる気がない人」なんて、いない
「自分はやる気が続かない」「集中できないタイプだ」と落ち込む人もいますが、
精神科医としては断言できます。
“絶対的にやる気がない人”は存在しません。
人には「やる気が出るスイッチの形」がそれぞれ違うだけです。
ある人は人前で宣言することで動き、
ある人は静かに小さな行動から始めることで動き出す。
重要なのは、「完璧にやる」ことではなく、「少しでも始めてみる」こと。
10秒でも0.1秒でもいいのです。
その積み重ねが、やがて自信と行動力を育てていきます。
おわりに
“やる気が出ない自分”を責めるのではなく、
“10秒だけやってみよう”と声をかける。
それだけで、心の流れは静かに変わっていきます。
人生を動かすのは、劇的な変化ではなく、
小さな行動の積み重ねです。
今日、あなたも「10秒だけ」何かを始めてみませんか。
その一瞬が、明日を変える最初の一歩になるかもしれません。
今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)















