シロクマのことだけは考えるな!という話~名古屋院心療内科マンガ







「考えるな」と言われると余計に考えてしまう
「今から絶対にシロクマのことだけは考えないでください」
そう言われると、頭の中に白い大きなシロクマが浮かんでしまう。
人は「考えてはいけない」と言われるほど、その対象を強く意識してしまうのです。
例えば…
- 「寝なきゃ」と思うほど眠れなくなる
- 「忘れなきゃ」と思うほど記憶がよみがえる
- 「緊張するな」と思うほど緊張する
誰にでも心当たりがあるでしょう。
感情や思考を「追い払おう」とすると、むしろ逆効果になってしまうのです。
実験が示す「感情と行動の違い」
心理学にはこんな興味深い実験があります。
被験者100名にチョコレートを渡し、AグループとBグループに分けました。
そして以下のような指示をだしたのです。
Aグループ:「食べたいと思ったら“ダメだ”と考えるようにしてください」
Bグループ:「食べたい気持ちは自然だから、ただ認めて行動に移さないでください」
結果はどうなったでしょうか。
Aグループは多くが我慢できずに食べてしまいました。
一方でBグループは全員が食べずに耐えられたのです。
ここに大切なメッセージがあります。
- 感情そのものを抑え込もうとしても、追い払うことはできない。
- しかし、「行動」ならコントロールすることができる。
ということです。
つまり、「感情はそのままでいい。でも行動は選べる」のです。
ツラいときは「小さな行動」を
もちろん、感情をなくすことはできません。
「悲しい」「苦しい」「やる気が出ない」――そんな気持ちは誰にでも訪れます。
でも、その時にできるのは「ほんの小さな行動」です。
・苦しいときは体を動かす
・ダルいときはレポートを一文字だけでも書く
・ツラいときは本を読む
大きなことをしなくてもいいのです。
ほんの少し「行動」に変化をつけるだけで、感情の渦に飲み込まれることを防げます。
感情と付き合い、 否定せず、受け入れる。
「悲しい」「苦しい」という感情そのものは否定しなくてよいのです。
感情は人間にとって自然で、消すことはできません。
大切なのは「そう感じている自分を認めること」。
そのうえで「どう行動するか」を自分で選んでいくのです。
戦う相手は感情ではなく行動
- 感情や思考はコントロールできない
- でも行動ならコントロールできる
- 小さな行動の積み重ねが、人生を変えていく
つらさを「追い払おう」とせず、ただ認めながら小さな行動を積み重ねる。
それが、感情に振り回されずに生きるためのコツです。
あなたが「幸せになろう」と思うとき、戦うべき相手は感情ではなく、行動なのです。
今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)